初心者のための機械の安全使用
トリマー編
 今号はトリマーの安全使用について述べさせていただきます。
 農業機械でバリカン式の畦草等を刈るトリマーが使用されますが、一般的には普及しておりません。 茶栽培における整枝作業にトリマーは使用されています。また、ガーデニング等では芝刈機の代用として、ごくごく小面積に電動のトリマーが使用されます。
 トリマーが最も多く使用されるのは、植木の刈り込み作業で垣根の整姿に威力を発揮します。
 最近ではペットブームの影響か、トリマーと言えば犬猫の毛刈りをする人を思い浮かべる事のほうが一般的となってしまったようです。

1.初めての機械は取扱説明書をよく読みましょう。

  刈払機・チェーンソーと同じです。(前号参照)
  トリマーはエンジン式の他、電動式も多く使用されます。レシプロ刃の作動は同じですので基本的には使用方法は同一です。
 電動式の場合は発電機と併用して使用されることが多いため、発電機の取り扱い方および発電機の容量を熟知しておくことも重要です。
 筆者の勤務する公園で2台の電動トリマーを使用して作業していたところ、発電機のブレーカーがしょっちゅう断絶してしまう事象が発生し、発電機が故障だと大騒ぎしていたことがありますが、発電機の容量いっぱいの電力量で作業していたため、少し太めの枝を切断をすると負荷が増大しブレーカーが落ちる現象を繰り返していたようです。
エンジン式 電動式
畦刈用トリマー 畦草刈用アタッチメント
 畦草刈用トリマーは回転刃の草刈機と同じような使い方となりますが、手持ち式のトリマーは腕で機械を支えながらの作業となり無理な姿勢での刈り込みが怪我の元となったりしています。

2.作業に合った服装をしましょう
 
 袖じまり、裾じまりの良い作業服と保護めがね、防振手袋、安全靴、すね当て等の保護具も着用しましょう。
 畦刈用トリマの場合回転刃と違い、作業者の危険に関する感覚が鈍くなり、そんなに危険な機械とは思わなくなってしまい、不用意に足首やすねに刃を当ててしまうケースが、多く発生しています。
 手持ち式の場合は、レシプロ刃が比較的目の前で作動するため、危険感覚が強くなり気をつけようという意識が強く働きます。

作業に合った服装で身の安全を守りましょう!!

3.機械の作業前点検および整備を行います。
(1)レシプロ刃の破損等をチェックします。刃の破損があると切断が不十分となり、茎や枝が刃に噛み込み止まってしまいます。電動式ではモーターの焼損にまでいたる事も珍しくありません。
(2)刈刃と受刃のそりがないかどうか確認します。刈刃と受刃にそりがあると、エンジンやモーターに負荷がかかり、能率が上がらないばかりでなく機械の損傷に発展します。
(3)作業前、休憩時等にはレシプロ刃に潤滑油をたっぷりと塗布します。切れ味の低下は詰まりの原因となり、詰まり除去時に手指の切傷、切断等が発生します。
(4)電動式トリマの場合には電気コードの切傷、破損、切断やショートのほかコネクターの破損などをチェックします。また、発電機の作動も確認しておきます。

4.トリマーの持ち運び

 
チェーンソーと同じようにトリマーを運ぶときは刃に必ずカバーをつけます。
 
刃に接触することによる怪我を防ぐばかりでなく、刃の保護のためにも必要です
 
筆者の公園では保護カバーをすぐに紛失するため、ダンボールで作ったカバーで代用しています。

5.安全な姿勢で始動させます。

 畦草刈り用トリマーは、刈り払い機と同様レシプロ刃を地面から浮かした状態でスターターロープを引っ張り始動します。
 手持ち式トリマーは、チェーンソーと同じように本体を地面に安定させ、右足で後ハンドルを押さえ左手で前ハンドルを握りながらスターターロープを引っ張ります。

アタッチメントタイプ

手持ち式
6.無理のない姿勢で作業します。
 特に手持ち式の場合腕に相当の負担がかかるため、長時間作業では惰性で思わぬ方向に機械を動かしてしまい大腿部やふくらはぎなどにレシプロ刃を当ててしまうことも予想されます。
 身体から離れている枝などを払おうとして腕を一杯に伸ばし、片手で機械を支えて振り回す行為を何度も見かけていますが、前述のような結果を招くため、絶対にしてはならない作業方法です。手持ち式では機械を両手でしっかりと保持し、上腕を身体からあまり離さずに切断作業に心がけましょう。

7.電源コードはトリマーより後方に置きましょう。
 電源コードにつまずいたり、切断しないように注意しましょう。
 整枝、すそ刈り作業などは前進作業が基本です。電動式トリマーの電源コードは進行方向の後方に置かれるように作業します。
 電源コードが作業する方向にあると刈刃でコードを切断してしまいます。
 筆者も2度ほどコードを切ってしまいましたが、切ったコードの端部を不用意に捜すと切断面に手が触れて感電する危険性があります。
 電源コードを切断してしまったら直ちに発電機のエンジンをストップし、コンセントからコードを取り外します。
コード切断時に現場で応急処置ができるよう、ニッパやワイヤーストリッパー、接続端子、絶縁テープなどの電気修理関連工具を持参しておくと便利です。

8.異常を感じたらまずエンジンやモーター電源を止めましょう。

 刃に草が喰いついた、作動音が大きくなった、電動式では焦げ臭いにおいがするなどの異常が感じられたら、エンジン・モーター電源をを切り原因となっている状況を取り除きましょう。
 エンジン式では遠心クラッチが滑って機械の破損を防いでくれますが、電動式ではモーターが焼損してしまいます。
 無理な作業や、太すぎる枝の刈り込みは機械を破損するにとどまらず、身体に刃を接触させてしまうことが多くなりますので注意が必要です。

トピックス


電工ドラム(コードリール)
キャップタイヤコードをリールに巻いたもの。
使用する電動器具の使用電流を確認すること。
コードをリールに巻いたままで使用すると熱を持つことがあるので、コードは伸ばしきって使用するのが原則です。
コードを伸ばしきって使用するとあちこちにコードが拡散し足元で引っ掛けたり、コード切断が発生しやすくなります。

トリマーー編 完