農業機械の隠し味を活用しよう

農作業には手段として機械が絶対に必要な時代です。ずいぶん前から言われていることですが、機械化栽培できない作物は消えていく。もちろん、高付加価値をめざす作物では手をかけることが大切ですから、機械化されなくても栽培されていますが、大面積・大量生産には向いていません。昭和30年代から始まった農業機械化では、能率や精度の向上が第一の目標であり、安全性や使い勝手はその後ろにありました。しかし、世の中全体が安心・安全に働ける社会の構築になってきましたので、農業機械でも、安心・安全を前面に押し出すようになってきました。
農家の皆さんが使いたくなるような機械、友人たちに勧めたくなるような機械、そして、次代の担い手が農業に参画したくなる機械、そのような、機械本来の性能に加えた隠し味がたくさん含まれている機械が増えてきています。
たとえば、長時間作業しても手の痺れや耳鳴りが残らない、農繁期が終わると体全体が疲労してすぐにでも湯治に行きたくなるようなことが減る、農道を移動するときに足を浮かせなくても良くなった、という健康に結びつく隠し味があります。また、ハンドルやペダルの操作が軽くなった、機械の情報が適切に液晶パネルから表示され効率的な作業が行える、右手と左手の操作分担が適切になった、機械への乗り降りが容易になった、トラクタと作業機の着脱が簡単にできるようになった、などの機械操作が楽になったという隠し味もあります。
隠し味は上にあげただけではありません。一部は、7月に開催された本会のフォーラムで紹介されました。概要は広報のバックナンバーを参照してください。このような、間接的に能率や精度の向上に結びつく技術を理解し、使い込むことで、生産者の安心・安全が確保され、消費者の安心・安全にもつながります。農業機械の更新を行うときには、価格の上昇もあるかもしれませんが、無意味な価格上昇ではありません。このような隠し味も選択の対象に組み入れてください。(石川文武)

ひとつもどる