農作業安全の専門家・石川文武が送る農作業安全のための安全対策。今月は梅雨から真夏にかけて考えられる対策をお送りします。

梅雨末期の災害防止と真夏への備えを
-梅雨末期の災害防止-
今年の梅雨は少雨の傾向といわれています。農業用水や生活用水が不足しな
ければよいと考えている日々です。沖縄のほうから次第に梅雨明けとなりそうですが、梅雨が明けそうになると、毎年のように集中豪雨が降ります。 台風や豪雨のときの災害では、大雨が降っている時や風の強い中にほ場の見回りに行き、水路へ転落したり、飛来物にぶつかったりする事故報道があとを絶ちません。被害者が高齢であること、単独で見回りにいっていることなどが、共通項目となっています。
-大雨の時は危険です-
あふれた水でほ場と道路や水路との区別がつきにくくなっています。流れ込んだもので稲が水びたしになっている状況を一刻も早く改善するために見回りに行くのでしょうが、あたり一帯が水びたしになっている中で、流れの支障となっているものを一人で取除けるものではありません。雨が小降りからやむ方向になっているのであれば、あふれた水を早くほ場外へ出すことの意味は有りますが、まだ降り続く中での作業はわが身の安全のためにやめるほうがよいでしょう。精魂こめて作っている作物の被害を少なくしたいという気持はわかりますが、そのために貴重な命を奪われては元も子もありません。
-やむを得ず出かける場合には-
どうしても見回りに行くのであれば、複数で行く、すり足で移動する、長い竿のようなもので周囲の深さを確認する、流れの支障になっているものを取り除く時には、安全な電柱などと体をロープなどでつないで濁流に飲み込まれないようにする、等といった安全対策を取りましょう。 
-真夏への備え-
梅雨が明ければ、猛暑になるでしょう。6月に東京で開催されたシティマラソンでは、熱中症で倒れた人もいました。猛暑を乗り切るひとつとして、熱中症への備えが大切です。
 厚生労働省の「熱中症による死亡災害発生状況(平成16年分)」(厚生労働省のHPにジャンプします)によると、熱中症は、猛暑の年に20名以上の死亡災害が発生し、特に7月と8月に集中しているとのことです。熱中症による死亡災害事例のなかには、刈払機による草刈作業中の事例もあり、これからの草刈シーズンには農家の方にも十分注意をしてほしいものです。
 熱中症は、汗で水分や塩分が過度に失われた時になりやすいと言われており、予防のポイントは@水分と少量の塩分をこまめにとる(スポーツドリンク、水と梅干、0.1〜0.2%の食塩水などを10℃から15℃に冷やしたもの)、A通気性や吸湿性の良い生地で涼しい服装にする、B食事はきちんととる、お酒・ビールは飲みすぎない、睡眠・休憩は十分にとるなどです。
 熱中症の対策は本人の注意も大切ですが、家族等の周囲の人が上記のポイントが守られているかに注意し、気温が30℃を超えたら休憩を促すなど、皆で対策に取組むようにしてほしいものです。
-万が一熱中症が発生したら-


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